あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
ーーー「まあ細かいことははしょるけど、いろいろあって俺が九重をふったんだ」


きっと細かいことは、九重をふった理由やいつ別れたかなどだろう。
そこまで聞くつもりは毛頭ない。


「そっか、それで毎日あいた放課後を勉強に充てたんだね」

「そういうこと」

それならば納得だ。少し気にはなっていたことの真相がわかり、すっきりする。


そこから私たちはいつものように映画の話をした。
話せば話すほど二人の共通点が見つかる。

私が映画を見る上で大切にしていることの中に、音楽がある。これは吹奏楽部だったことと関係があるのかもしれないが、映画の中で使われる音楽は映画にとってなくてはならない存在。
音楽によってさらに場の雰囲気が盛り上がったりする。

主人公たちの会話の裏で流れているBGMは誰も気づかずにスルーされがちだが、会話の邪魔をしないがなくては物足りないという絶妙な存在感がたまらない。

一ノ瀬くんも音楽の大切さを感じているらしい。
私のこの持論にも賛成してくれてとても嬉しかった。
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