あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
申し訳なく思う必要なんてないのに、桜庭さんは申し訳なさそうに答える。
というか恋愛どころか好きもわからないなんてかなり純粋というか鈍感というか・・・

「あー、まずそもそもわからない感じなのか。まあでもそういうひともいづれわかるよ」

「ただいまー!」

そのタイミングで新藤が帰ってきて話は終わる。


「そろそろ下校時間だよね。帰ろうか」


二人は電車通学なため、正門のところで俺と分かれる。

「じゃあまた明日」

「うん、また明日」

「ばいばい」


ーーー次の日放課後の教室で桜庭さんと二人で話したことをきっかけに、俺たちは放課後同じ教室で勉強するようになった。

初日に彼女の塾がない日だけ一緒に帰っているといったのに、毎日のように残っている俺に桜庭さんは疑問を抱いただろう。

だがそれをわざわざ聞いてくる人じゃなくて安心した。
不必要に深入りいてこないこの距離感は好きだった。



そして毎日残っていた理由だけどーーー

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