あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
「卒業生が入場します。皆様、大きな拍手でお迎えください」

今日式の進行を担っている教頭先生がそう告げると、体育館中の人が拍手で私たちを迎えてくれた。


前の人に続いて体育館に入る。
いつもは体育などで使う体育館だけど、卒業式のために飾り付けられている。

その厳かな雰囲気に自然と背筋が伸びる。


(いよいよって感じ・・・)

一呼吸すると、私は第一歩を踏み出した。



卒業式は滞りなく進んだ。

在校生からの送辞は、吹奏楽部の後輩が読んだ。
文化祭の時よりもさらに成長した姿に感動してしまった。
きっとこの子たちならこの先もうまくやっていけるだろう。

それに対して答辞は九重さんが読んだ。
九重さんは学年トップの成績のため、今回答辞を任された。
可愛くて性格が良くて、賢くて。
いい所が全て揃っているのにどうして一ノ瀬くんは九重さんのことをふったのか、それは大きな謎だ。

九重さんは堂々と答辞を読み、与えられた役割を完璧にこなした。


卒業式の最後は蛍の光を斉唱。
それが終わるともう退場だ。

きっと退屈で長いだろうと思っていたのに、卒業式は案外早く終わった。


吹奏楽部の演奏をバックに退場する。
今までは自分が卒業生を送り出す側だったのでなんだかこそばゆい。
< 83 / 97 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop