あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
教室に戻り、最後のホームルームを行い、クラスで集合写真を撮ると解散となった。
結構あっさり解散になったけれど、ここからかなりの時間みんなは学校に残るはずだ。
もちろん私も。


「澪先輩!」

突然名前を呼ばれ、ドアの方に目を向けると先ほど式で送辞を述べた後輩がいた。

「吹奏楽部の先輩に少し来ていただきたくて、今お時間いいですか?」

「いいよー、愛ちょっと行ってくるね」

「いってらっしゃーい」


後輩について廊下に出ると、三年生の吹奏楽部員が勢揃いしていた。

「突然お呼びしてすみません。皆さん少し外に来ていただいて構いませんか?」

そういう後輩に着いていき、外に出ると体育館前に現役吹奏楽部員が勢揃いしていた。


「先輩方、ご卒業」

「「「おめでとうございます!!」」」

「っ、」


去年までは楽器ごとに先輩の元へ行き、色紙やプレゼントを渡していたので部員全員で祝ってくれるとは思わなかった。

吹奏楽部員はかなり人数が多いので、全員がそろうと圧巻だ。

高校三年間を吹奏楽に捧げてきた私たちにとって、後輩たちに祝われることは卒業式に出席すること以上に卒業を実感できるものだった。

「こうやって祝ってもらえるなんて幸せ者だね、私たち」

「うん・・・」

莉子の言葉に頷く。
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