スイート ジャッジメント 番外編

「ねぇ、湊。何かあったの?」

「何もないよ。昨夜、よく寝れた?」

「あ、ごめんね。寝落ちしちゃって」

「寝息可愛かった」

「……聴かないでよ」

「聴こえたから」

 クスクス笑って湊は繋いでいた手を軽く握ってくる。

 機嫌、そんなに悪いわけじゃないのかな? でも、それなら武田と橋浦くんに挨拶くらいしそうだよね? 実は武田か橋浦くんと喧嘩中? でも二人とも笑ってたし……。しっくりくる説明が思いつかない。昨日は普通だったし、どうしたんだろう。

「どうしたの? とわ」

 隣にいる湊を見上げれば、そう言ってかすかに笑うけれど、どうしたのか聞きたいのはこっちの方だ。

 今日の湊は、なんだか雰囲気が違う。笑った顔も、いつもと少し違う。多少緊張しているような、少し気を張っているような、そんな感じだ。

 そんな微妙な疑問が解かれたのは、湊が出た二回戦第5試合の時のこと。

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