スイート ジャッジメント 番外編
「ヤバい。会話だけ聞いたらカッコイイのに超ウケる」
「ホントそれ」
全く同感。だけど、なんだか笑いにくいポジションにいる私。心理的にも、物理的にも、私の頭上で会話する2人を笑うに笑えない。
「じゃ、俺次試合だから。応援しててね、瀬川」
わざわざ私を名指しして、笑ってコートに向かう武田を湊が睨む。
「とわ、ちょっとおいで」
私の腕をグイッと掴んだ湊は、不機嫌そうな眼差しをコートに向けてから歩き出す。
湊、武田の試合観ない気だ……。
それに気付いて、苦笑いしてしまう。
「いってらっしゃーい」
笑いながら手を振ってくれた美久ちゃんとちぃちゃんに見送られて、私は半ば引き摺られるように湊に体育館から連れ出された。
「湊」
「ん?」
「言ってくれたらよかったのに」
「何を?」
「朝の……電車」
武田と一緒なの嫌だって。
「それ、聞いたんだ。まぁ、そこをとわに文句言ってもしゃあないじゃん。駅一緒なんだからさ。
てか、とわあいつと……いいや。やめよ」
あいつと……何?