スイート ジャッジメント 番外編
体育館に戻れば試合は第2ピリオド。スコアボードを見ると、12-6で武田のクラスが勝っていた。
「桜庭先輩、3年生なんであんなに本気なんすか? さっき吉沢先輩も超怖かったんすけど」
「俺と武田は対戦したいからマジでやってる。……けど、吉沢はただの脳筋」
「アレ、平常運転っすか?」
「おう」
「マジっすか……怖っ」
湊は話しかけてきた2年生に笑って答える。ステージ近辺は、朝から互いの試合を見るために居座っているサッカー部でずっと騒々しい。
……湊やちぃちゃんと一緒じゃなかったら、こんな騒々しくて男子ばかりの空間になんて絶対に近づけない。
そう思ってしまうステージ横を抜けて、湊はきちんとちぃちゃんの傍まで私を連れてきてくれた。
「桜庭、邪魔ー。前居るなら座れ」
後ろから聞こえてきた声に、湊は素直に謝って床に座る。何だかんだで素直で可愛いなぁ、と思って湊の頭を撫でてしまう。
「武田ってこれ勝ったら次どこと当たんの?」
湊に問われて、ちぃちゃんのトーナメント表を借りる。そこには、対戦結果のみならず、サッカー部の誰が何組かも書き込んである。ちぃちゃんってさばさばしていて大雑把に見えがちだけど、実はすごくマメだ。