スイート ジャッジメント 番外編
「つーか、桜庭。てめぇ、去年後半ろくに使いもんにならなかったくせに、朝から戦闘モード入ってるとかふざけんなよ。決勝で潰すからな」
低い吉沢くんの声に、じゃれてた湊と武田が揃って時間が止まったかのようにフリーズした。
一同が沈黙する中「あんた、ちょっと来なさい!」とちぃちゃんが吉沢くんを引きずって行った。
「やっべー。湊ちゃんより圭ちゃん怖かった。茅ヶ崎が女神に見えたわ」
と、武田。次いでボソリと高橋くんが「さすが吉沢。最凶」と零した。
「桜庭、武田に負けた方平和なんじゃね?」
「勝って吉沢にボコられるか、負けて不機嫌な桜庭に八つ当たりされるか……か。嫌な二択だな」
「負けて桜庭が不機嫌な上に、吉沢も負けて3位決定戦で徹底的にボコられるパターンを忘れんな」
「うわ、それ最悪」
時田くんと高橋くんは、勝っても負けても嫌だなーと笑い飛ばすけれど、湊は私の肩に頭を乗せて盛大にため息をついてボソリと零す。
「俺らが勝って、吉沢が負けるってのは……1番可能性低い気がするんだよな……。なんでだろ……」
そして、そんな湊の背中を叩いて武田が白々しく笑う。
「まぁ、お互い頑張ろうな。準決勝」