スイート ジャッジメント 番外編

「校舎のトイレ行ったら、えらい目にあった……。女子トイレなんであんなに混んでんの?」

 頭の上から降ってきたため息混じりの湊の言葉に、さっきの推測が遠からず当たっている事が知れる。

「瀬川さん、わかりやすい」

「え?」

 時田くんの言葉に聞き返す。

「今、桜庭戻って来て安心したでしょ?」

「え……ええと……」

「まぁ、吉沢が怖がらせたからか」

「吉沢、お前何したの?」

 不機嫌な色を滲ませた湊の声が響くと共に、頭の上から、ふっと重量が無くなった。

「あ? 今、お前がやってた事……ぃってぇ。蹴るな。程よい高さとか言いだしたのは武田だろ」

「程よい高さとは言ったけど、俺、瀬川に何かしたことないけど? な?」

「え、うん……何もされた事ないけど……程よい高さって何?」

「あぁ、瀬川の頭が程よい高さで触りたくなるって話。やだぁ、湊ちゃんこわぁーい。睨まないで」

「うるせぇ、黙れ」

 わざとらしくシナを作った武田に湊が蹴りを入れるのが視界の隅に映る。……大丈夫、この2人仲良さそう。そんな所にもちょっと安心する。

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