スイート ジャッジメント 番外編
「ちょっとね。
とわ、1人にならないようにしておいてね? そろそろうるさいのも増えてきたし」
「……うん」
「何もしないとは思うけど、うるさいグループにとわ1人で囲まれちゃうのはさすがに心配だから」
「まぁ、ここに居れば平気だろ」
実原くんはそう言って微かに笑う。2面のコートの間にずらりと居並ぶサッカー部のただ中は、確かに無関係の人は立ち入り難い。
「桜庭も馬鹿よねぇ。こんな事して目立って新規ファン獲得して……」
「ほんとなぁ。1年なんて殆どあいつの事知らなかっただろうにな」
「2年だって、超ヤバい元カノが居るらしいって倦厭しててくれてたのに……ホント馬鹿」
ちぃちゃんと実原くんの散々な言い様も、湊がムキになっている理由を思えば、やっぱり笑うに笑えない。
「吉沢もキレるのもしゃーないよ。あいつ結局レギュラー戻れなかったし」
「え?」
実原くんの言葉に思わず私が聞き返すと、ちぃちゃんと実原くんは揃って少し困ったように苦笑いした。