スイート ジャッジメント 番外編
「そうなの。文化祭の後からスイッチ入らなくなったって言ったでしょ? 練習試合には時々出てたんだけど、本当にパフォーマンス悪くて。結局、大会ではレギュラー落ちしたの。圭吾はずっと相方は桜庭ってスタンスで練習してたから、そんな事で桜庭外れるのは嫌がってたし、圭吾なりに心配もしてたんだけど……。それなのに、桜庭ってば今日は朝からスイッチ入ってるから」
だからあんなに機嫌悪かったの。と、ちぃちゃんは苦笑いした。
「そのへんはあいつのメンタルの問題で、瀬川さんのせいって訳じゃないから」
「そういうの吹っ飛ばしちゃうくらい、とわの事好きなのは確かだけどね」
私を気遣うような2人の言葉に凄く申し訳なくなる。私はサッカー部にも沢山迷惑をかけていたのに、それなのにこんな風に私が湊と一緒にいるのを、当たり前のように受け入れてくれていたんだ。
「ところで、茅ヶ崎。そのご機嫌斜めの吉沢がこっち来るけど」
「……あら、そうなの?」
知らなかったと言わんばかりに、しらっとしてちぃちゃんは言うけれど、ちぃちゃんも向こうから呼ばれいた事は多分気づいていたはずだ。吉沢くんの声は、なかなかのボリュームだったから。