スイート ジャッジメント 番外編

「朝起きたら、翔太から何でもいいからでっかいリボン付いた髪飾り持って来いってメッセ来てて。でかリボンなんてこれしか無かったから」

 ……それは良いのだけど、どうして私に付けるのか。

「さっき、やっとバレー終わったんだけど、試合だから早く持って来いって。で、とわに着けろって。翔太、人使い超荒いんだけど」

 ほんとにもう、とコートを見た若菜は、ふっと笑う。

「あぁ、桜庭くんのクラスと試合なんだね。それで上まで超混んでたんだ。ここで見てってもいいかな?」

 観たいけど、2階まで満員だし……と、若菜が周囲にサッカー部しか居ないことに少し居心地悪そうに言うと、近くにいた林くんが「別にいーんじゃない? 遠藤さんも武田見たいでしょ?」と軽く返事をした。

 若菜がここに居てくれると私としても嬉しい。ちぃちゃんは吉沢くんに連れていかれてしまったし、美久ちゃんはバスケ部の友達と試合を見ている。ここに私一人残されてしまうと、流石に少し居心地が悪い。この人数の男子に囲まれるのは、湊の部活仲間とはいえ落ち着かない。

 試合開始前の挨拶を見ていると、武田がこっちを見て若菜に手を振った。そして、武田に何か言われた湊がこっちを向いて、リボンカチューシャを着けた私を見て表情を崩して笑った。

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