溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
真っ暗な帰り道。

昼間とは違って、眺める景色もなければこれといって会話もなく、、、

耳を澄ましたら、東雲さんの息づかいすら聞こえそうな位だった。

それ以上に、私のうるさいほどの心音をなんとかして欲しい。

気付かれませんように、、、なんて無駄に祈りながら。


ブーツ、ブーツ、ブーツ、ブーツ

私の携帯が森閑を破って鳴り出した

「すみません。出ても?」

「あぁ、どうぞ」

着信は慶太から。

若干の気まずさを抱えながら電話に出る

「もしもし?」

「あ、希。まだ出先?」

「うん。今帰ってるとこ。どうしたの?」

「そのまま店に来ない?明日は日曜だし、一緒にいたくて。」

「私も一緒にいたい。帰ったら行くね」

「待ってるから。」

通話を終えて、またバッグへ携帯を戻した。

「お前も十分ひどい奴だよ」

「、、、え?」

低く呟いたかと思ったら、おもむろに路肩へ車を停めた。

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