溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
ビール片手に、気付かれないように盗み見る。

楽しそうに目を細めて笑って、時折見せる照れた顔。

あぁ、確定。

私がモタモタしてつまらない意地を張ったせいで、その笑顔も声も手も全部誰かのモノ。

後悔先に立たず。

私にはぴったりの言葉だ。

もう十分。帰って寝て忘れたい。

店を出てフラフラと歩き出した。

ちょっと飲みすぎたかも、、、

気持ち悪くなって、店から少し離れたガードレールにもたれ掛かった。

「ねぇ、君大丈夫?」

ふっと見上げると知らない人。

「、、、平気です。」

「嫌なことあって飲みすぎたとか?」

いきなり核心をついてくる。

「いえ、別に。」

「俺もさー、フラれて酔っぱらい。二人でもう一軒行こうか」

「帰りますので」

「まあ、いいじゃん。ね?」

遠慮なしにグイグイと身体も顔も近付けてくる。

本当、煩わしい。

お酒飲んでなきゃ、一発KOしてやるのに。

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