もう、限界だから。〜両片想いの溺愛同盟〜
「い、嫌だ……もう帰る」
なんだか怖くなったから、私は鞄を持ち、帰ろうとドアの方に向かった。
でも、それを制するかのように、健斗が腕を掴んできて。
「……いっ」
そして、相当な強い力で引っ張られ、あっという間に健斗のほうへ体が傾いてしまった。
健斗は私の背中に手をまわし、抱きしめてきた。
でも、それもいつもと違う。
強い抱きしめ方に、少しだけ苦しい。
「け、健斗……!苦しい」
「だから?」
「な、なんでこんなこと……」
こんな乱暴な健斗、私は知らない。
今の健斗は健斗じゃない。