もう、限界だから。〜両片想いの溺愛同盟〜
その時、健斗の手がすっと伸びてきて、私の頬に触れた。
思わず肩を震わせると、健斗がまた小さく笑う。
「怖がらないでいい、力抜いて」
そんなこと言われても、できるわけない。
目の前の健斗は、怖い雰囲気を纏っている。
「できない」
「わがままだな」
首を横に振ると、健斗はため息をついた。
わがままって……私は何もしていない。
じっと健斗を見つめると、また彼が口を開いた。
「残念だけど、手遅れだから」
「えっ……」
「唯香は、“恋人のフリ”を受け入れた時点で、もう遅いんだよ」
健斗の言葉の意味が、さっぱりわからなくて。
どういうことか、聞き返そうとしたら。
そのまえに健斗が近づいてきて、唇を重ね合わせてきた。