「Last note」〜特性を持つ者へ3
烏丸と現場に戻った俺は、
押収した凶器片手に匂いを感じた男子トイレに来ていた。

「青山、現場でやるんちゃうんか?」

手洗い場の鏡に映る烏丸が腕を組んで立っている。

「初めて匂いを感じた時、池田透はまだ凶器を持っていたんだ。共犯者がいたなら、あの後誰かに渡してるはずだろ?」

「分かった。柄やないけど見守っといたるわ。」

烏丸がそう言ってくれたので
俺は深呼吸をして、精神統一に入った。

目を閉じて、

匂いに集中する……。

会場から少し聴こえるBGMの音楽も

やがて聴こえなくなる。


そう、嗅覚だけの世界………。


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