僕の1番大切な人
『私は…』


しばらくの間が空いて、姉さんはゆっくり話し始めた。

『心配かけてしまってたから、凌馬君には話すわね。あれからね、2年くらいして、同窓会があったの。私を心配してくれてた友達が、熱心に誘ってくれて。本当は、気が進まなかったんだけど、やっぱり行ってみたの』

『うん…』

『その時に、声をかけてくれた人がいて…昔、私のことが好きだったって言ってくれてね。それから、その人と時々会うようになって。最初は本当に友達だったんだけど、だんだんね…』

姉さん…とても嬉しそうだ。

『今はその人と付き合ってるの?それとも、結婚した…とか』

ドキドキしてる。

『結婚は二度としないと思ってる。でも、その人ね、奥さんを亡くされて、小さな子どもさんを1人で育ててたの。仕事が忙しい人だから、だから、すごく大変そうで。それを見てたら…自然と私がその子の面倒を見るようになって。本当に可愛いの。もうすぐ小学生になるんだけど…男の子よ、やんちゃで大変』

本当に幸せそうな笑顔。

『一緒に住んでるんだ』

『うん。子どもがすごく懐いてくれててね、私も情が移っちゃって。彼も、一緒に住んで欲しいって言ってくれたし、今は母親の真似事してるわ。私の母も近くにいるから安心だし。今は本当に充実してる』


そう言った姉さんは、今まで見たことがないくらい、輝いていた。


『結婚した方が幸せなんじゃない?』



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