リアル人生ゲーム(裏)


「ちょっと待て。宝くじが、ないのか?」


そう言って割り込んできたのは、板垣だった。


全財産を失い、手に入れるはずだった宝くじまで無くなったんだ。


詰め寄ってくるのも仕方がない。


「それは、未知瑠が__」


「私は盗ってない!彼氏を取られたからって、濡れ衣きせないでよ!」


鼻息荒く抗議をする未知瑠の横から「そうだ、未知瑠はそんなことしない」と、亮平が味方をする。


まるで、悪いのは私だとでも言うように__。


しかしその直後、犯人があっさり判明した。


「宝くじを盗った犯人、僕は知ってるよ」


私たちの言い合いをしばらく眺めていた悪魔が、さらりと言った。


「それは誰だ⁉︎」


板垣が、今度は悪魔に詰め寄る。


それは私たちも同じ。


この裏バージョンが始まってから、悪いことばかり。それを回避するための指令に従うだけで、疲れ切ってきた。


でも__宝くじがある。


5000万円があるから、どこか頑張れるところがあった。


その拠り所が無くなったんだ。


一体、誰が【犯人】なのか?


「犯人は__君だよ」


悪魔が指を差す。


「えっ⁉︎」


全員が声を上げた。


なぜなら__。


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