リアル人生ゲーム(裏)
「せーの」
サイコロを投げると、私の出した目は④だった。
今回は何も起こらない。奇跡は立て続けには起きないらしい。
願いを込めて放った未知瑠も、亮平も友美もマスは進んだが変化はない。
今回、唯一、マス目がめくれ上がったのは、彰だった。
【競馬で当たる】
ちょうど学校は休みだ。
だから私たちは、全員で競馬場に行くことになった。
「バレないだろうな?」
びくついている板垣は、こんなことで内申点が悪くなるのを気にしているらしい。
私と未知瑠は、なるべく大人びて見える格好をしてきたが、友美だけはどっから見ても子供にしか見えない。
「堂々としてればいいんだ」
彰が憮然とした表情で、競馬場に入っていく。
そりゃ、あんたはオッさんに見えなくもないからいいけど。
ちょっとドキドキしつつ、初めての競馬場でゲートを眺めた。
みんな馬に夢中で、誰も私たちのことを見ていない。
「これ、全財産だからな」
部活があった亮平も、当たる瞬間を楽しみたいと今日ばかりは部活を休んでいる。
私たちも、ありったけのお金を彰に手渡す。
だって、当たるんだもん。
賭け金は1円でも多い方がいい。
6人合わせて5万円になった。
これを倍にするんだ。