リアル人生ゲーム(裏)
教室がどよめいた。
驚きの中に「カンニング?」とちらほら聞こえてくる。
ムカッとしたが、それくらい私が満点を取るなんてことはあり得ないわけで。
「お前、答えを全部【A】にしただろ?運がいいにも程があるぞ」
社会科の先生が、がははと笑う。
そうだ、テストはマークシートだった。
どうせ分からないんだから、全部【A】を塗り潰したんだ。
呆れたような笑い声に包まれるが、別に恥ずかしくもなんともない。
チラっと、クラス委員と目が合う。
さすがの板垣も、私に向かって頷いた。
これで間違いない。
あの【リアル人生ゲーム】は、リアルに起きる。
しかも良いことばかりだ。
私は休み時間、みんなに打ち明けた。
私がゲームを始めたのだと。みんなの名前を参加者の紙に書いたのだと、その経緯を説明する。
さすがにクレームは起きなかった。
「早くサイコロ投げたーい!」
未だなにも起きていない未知瑠が、サイコロを投げる真似をする。
「まぁ、受験勉強の息抜きになるかもしれない」
板垣までそう言って、どこか楽しげだ。
唯一、友美だけは相変わらず俯いていたが。
それより、早く夜にならないかなぁー?
今度も絶対、よいマス目に止まってやる。
だって私は【サイコロの達人】なんだから。