リアル人生ゲーム(裏)
「ちょっ、待ってよ!」
私はすぐに抗議をする。
これでまた6マス進めば、たとえリターンのカードを使っても、3億円には届かないじゃないか!
「ボードに書かれてあることは【絶対】だよ。逆らうことはできない」
天使にすげなく言われ、押し黙るしかない。
今この瞬間、チャンスが潰えた。
仕方なく6つ進む。
みんなとの距離がだいぶ離れてしまった。
でも__まだチャンスはある。
他の誰かが3億円で止まればいい。
だからチャンスはまだあと5回あるんだ。
だから今度は応援にまわろう。
「未知瑠‼︎ガンバって!」
大きな声で励ますと、未知瑠は「任せろ!」と、元気よくサイコロを放った。
出た目は⑥だ。
意気揚々とマス目を進んでいく。
すると、またしてもマス目がめくれ上がった。
私のいるところからはよく見えなかったが、なにやら騒いでいる。
「あり得ないんですけど!」
「未知瑠、なんなの?」
「3マス進めだって!」
怒りながら進んだ先は、私が止まったところ。つまり、3億円の1つ先で__当然のように、またマス目から文字が現れる。
【6マス進め】
未知瑠が、恨めしそうに天使を睨みながら、私に飛びついてきた。