思いは海の底に沈む【完】
凛花さんはお酒を煽る
凛花さんは俺より一個上だから成人式を無事に済ませてお酒を飲めるようになった







「そういえばさー、白石千夏さんとはどうなの?」

「白石千夏?」

「ほらー、あの、若いイケメンキラーで有名の女優ですよ。
狙った獲物ならぬ狙ったイケメンは逃がさないで有名の。
この前、白石さん直々の指名で湊くんと共演してたじゃないですか!」

「あぁストーク!見てたわ。面白かった。特に湊くんの狂った演技に目が離せなくて!」

「そう!!そうなの!業界では白石さんが食うどころか演技で湊に食われたって噂が立つほど!
まさか白石さん、湊くんがイケメンだから指名したんじゃなくてこうなることを予想して指名したとか?」

『そうですね。何もありませんでしたよ』

「原作通りに行かないところも目が離せなかったわよね」

『あっ、それは柊さんからヒントを得たんですよ』

「柊から?」

『柊さんが寝室で寝てたのを勝手に入って寝顔観察してたらいきなり立ち上がってナイフを突き刺してきたことがあって
それからヒントを得たんです

友男はもしかすると、何も感じられず何でも知りたい人と思っちゃう人で麻衣子と一緒にいるんじゃないかって
でも、友男はそんな麻衣子ですらよくわからず麻衣子を殺そうとするんですけどね』

「柊と仲良いのね」

『ち、違いますよ!!』

「柊に許されてる。湊くんは特別なのね」

「そーだよー。凄いなぁ」

『止めてください!!』






あ…。

特別じゃない。冗談でも言ってほしくない。
気がつけば机を思い切り叩き声をあらげていた。




『ごめんなさい…』

「ううん。柊と喧嘩でもした?」

『喧嘩じゃなくて…っ。違うんです…。』



俺何で泣いてるんだろう…。



『今日、ちょっと帰ります。お金置いとくんで』

「う、うん…」



俺、何こんなにムキになってるんだろう

やだな。ちゃんと蹴りを付けよう






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