思いは海の底に沈む【完】
弘人さんの家に上がり込み話を始めた



『パチンコ行く暇があるなら掃除したらどうですか?』

「なんだよ!話ってそれかよ」

『いいえ。俺の事知らない?少し前まで芸能人だったんだけど』




かつらを取った



「えぇ!?湊!?」

『そう、俺が湊。美代子さんとあんたの娘。借金、返そうか?』

「本当に!?」

『条件飲めばね!』

「…。チッなんだよ」

『当たり前ですよね!見ず知らずの人にお金をただであげるわけないよね』

「で?用件は?」

『うん。お母さんに一回だけ会って。あと、生活保護とかじゃなくて働いて
こう、部屋とか綺麗にして洗濯とかコインランドリーでいいからやって、ご飯と簡単な料理でいいから作って』

「用件多いな…」

『それが終わるまで俺、ここから出てかないから!』

「は!?」

『お父さんでしょ!』

「そんなことしたら危ないだろ!仮にも男と女…」

『ドラマ見てない?俺鍛えてるし体術身に付けてるから反撃は容赦なくするよ
あと、お金はここにない。今は知り合いのゲイでマッチョなオカマの所に預けてある。』

「…」



父さんは青ざめて黙って床に転がるビールの空き缶を拾った


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