思いは海の底に沈む【完】
沈んでいた思い
柊さんはトラックに俺のバイクを積み

助手席に促された




『柊さん、ごめん。話途中だったね。怒ってる?』

「はい。しかし湊が全てを精算するまで待とうと思いました。
あなたの事だから美代子さんが変わるまで自分が幸せになることは許さないでしょうから」

『うん。母さんは変わってくれた。帰ったら美羽さんにもお礼が言いたいな』

「それなら良かったです。こんなに早く変わってくれるとは思ってませんでした」

『うん、今度は柊さんの話を聞かせて』

「私は…。
湊はお気づきでしょうが普通ではありません」

『うん。お医者さんだったり料理上手で体術も凄い何でも出来るスーパー執事なんだよね?』

「変だと思いませんか?普通の人間はそこまで出来ません
それだけではありません。私は外国から来ました」

『うん。アゲハさん、言ってたね』

「私は小さい頃、親に売られてある機関に入れられて幼い頃から語学や体術を習いました
周りは敵しかいない。いつ殺されるか分からない場所で育ち
いつしか、アゲハさんと共にトップに君臨していたんです」

『トップ…』

「そうです…。私は元工作員でした」

『…そうなんだ…。』

「もう、狙われていませんし誰も狙いません。湊を危ない目に遭わせないと誓います。
私と…」

『…え?待って!』







…あ

やば。続きの言葉が怖くて遮っちゃった。

でも、柊さんの事をやっとのことで忘れかけていたのにも関わらず
ここで、言葉を聞いて曖昧に期待するのは危ない
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