思いは海の底に沈む【完】
「…っ」

『あ、あのね。俺分かってるから。この先言わないで
だって、ゲイなの知ってるしっ…。
俺胸ないけど男じゃないから
俺は、本当の事を話してくれなくてもずっと友達だよ?』

「…あなたは酷い人だ」

『へへ。最近自覚した』

「そうですよ。あなたは、人を魅了する
誰であっても心の隙に入り込み完全に掴んでくる
他の人に取られないか不安で仕方ありません
それでいて、時々何もかも忘れさせられるような、手離せなくなるような表情をする」

『だって俺元俳優だもん。人を魅了しないと食べていけなくなるでしょ。今はもうそんなことしなくてもいいけどね』

「あの、湊。私が言いたいのは違うんです」

『ははは、ダメだね。こんなに時間が経過しても聞きたくないよ…』

「好きです…」






柊さんは車を止めて俺の手を握った。







…!?




『えぇ!?』
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