狼を甘くするためのレシピ〜*
蘭々を挟んで洸が仁とは反対側のカウンターに座る。
それが三人で会った時の並び方だった。
――コウ、可愛い彼女は? 連れて来ないの?
そう言いたかった。
でもその言葉は、喉の奥で立ち止まったまま沈黙してしまう。
「いよいよ辞めちゃうんだね。どう? どんな気分?」
「コウ、それもう俺が聞いた。概ね良好だとさ」
あははと笑い、笑ったおかげで胸のつかえが落ちたらしい。
親友としての心を取り戻せた蘭々は、いつものように少し澄まして洸を振り返る。
「ありがとうね、コウ。仁も。みんなに助けてもらったおかげで、こんなに長くがんばることができた」
「いや、がんばったのは蘭々だ」
「あ、そうそうコウ、私ね、旅行から帰ってきたら仁の青山のジュエリーショップで働くことになったのよ」
「え、そっちに決めたの? なんだそうなの。うちの画廊に来るのも悪くないと思ったのになぁ」
それが三人で会った時の並び方だった。
――コウ、可愛い彼女は? 連れて来ないの?
そう言いたかった。
でもその言葉は、喉の奥で立ち止まったまま沈黙してしまう。
「いよいよ辞めちゃうんだね。どう? どんな気分?」
「コウ、それもう俺が聞いた。概ね良好だとさ」
あははと笑い、笑ったおかげで胸のつかえが落ちたらしい。
親友としての心を取り戻せた蘭々は、いつものように少し澄まして洸を振り返る。
「ありがとうね、コウ。仁も。みんなに助けてもらったおかげで、こんなに長くがんばることができた」
「いや、がんばったのは蘭々だ」
「あ、そうそうコウ、私ね、旅行から帰ってきたら仁の青山のジュエリーショップで働くことになったのよ」
「え、そっちに決めたの? なんだそうなの。うちの画廊に来るのも悪くないと思ったのになぁ」