狼を甘くするためのレシピ〜*
「おー、アキか。どうした? 走ってたのか?」

 ぜぇぜぇと息は切れたが、「あ、うん、ちょっとね」と、なんとか誤魔化した。

「仕事中?」

「まぁな、ひと段落して今休憩中だ。お前は? 時間ないのか?」

「うーん、ちょっとなら」
 ツンと澄ましてそう言ってみる。

「じゃ、付き合えよ、昼飯」

「うん。いいわよ。私もちょうどこれから、どこかでランチをしようかと思ってたところ」

 ケイがニヤリと笑う。

 ここ青山で、ネクタイをしてスーツを着こなしているケイは、ちょっとカッコよく見えた。

 ――生意気に髪も整えちゃって。

 スーツの質がいいことは一目でわかる。ピカピカの革靴に皮のビジネスバッグ。
 まるでやり手の青年実業家のようだ。

「何か食べたいものはあるか?」

「特にない。まかせる」

「オッケー」と言ってその場で首を回してあたりを見回したケイは、路地を親指で指した。
 そこには定食屋がある。
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