狼を甘くするためのレシピ〜*
 クスッと笑いながら蘭々はケイの後についた。

 同じ路地には、数日前に仁とランチに来たお洒落なレストランがある。

 そのレストランを通り過ぎてケイが立ち止まった店には、生ビールの幟が立っている。夜には居酒屋になるのだろう。

 いかにも庶民的な店だった。

 ガラガラッと引き戸を開けて暖簾をくぐると、蘭々は心の中で笑った。

「いらっしゃいませ」

 ――いい感じ。
 アキとケイの食事はこうじゃなくちゃいけない。

 ケイは、隣の空いている席にビジネスバッグと『コルヌイエ』のロゴがついた小さな紙袋を置いた。

 ネックレスを買ったのよね。
 そう思いながら、蘭々は視線をケイに戻す。

「顔色良くなったじゃないか。よかったな」

「おかげさまで。しっかり食べてるし」

「何にする?」

「うーん。煮魚定食」 
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