狼を甘くするためのレシピ〜*
 仁は目を閉じて、今日これからのスケジュールを整理した。

これから郊外の客先へと出かけなければならないが、その後やろうと思っていた仕事を急ぎ今から終わらせれば、直接カフェに行くことができる。

「わかった。そうだな、遅くても六時半までには行ける。今ひとりなのか?」

『ん? ああ、ひとりだよ。これから会社に戻るところだ』

「そうか。またタクシー乗ってんのか?」

『ああ』

 ケイは運転手を雇わずに、地下鉄やタクシーで移動する。
 以前、その理由を聞いたことがある。すると径生は、『タクシーの運ちゃんと話をしたり、街を歩いたりしていると、いい発見があったりするのさ』と答えた。

「どうだ? なにかいい発見はあったか?」

『まあな、お前の店で綺麗な“宝石”を見つけたよ』

一瞬息を止めた仁は、目をつぶり大きく息を吸った。

「そりゃよかった。じゃ、夕方よろしくな」
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