狼を甘くするためのレシピ〜*

『了解。じゃ向こうで』

――くそっ。

 径生は“女”が蘭々だということに気づいた。

 藤尾の話では、径生と蘭々は店で顔を合わせてはいない。径生が現れたのは、蘭々がちょうど昼休みに入った時だったという。
 それでも径生が【お前の店で綺麗な“宝石” を見つけたよ】というからには、ただ売り物のジュエリーのことを言っているわけじゃないだろう。

 間違いない。
 径生は蘭々がいると知って店に行ったということだ。

 七時に青山のカフェで待ち合わせているという相手は蘭々か? それとも別の女か。それとも全く別の仕事関係なのか。

 仮に会うのが女で蘭々ではなかった場合は簡単だ。
 径生に釘を刺し、今後二度と蘭々には近づくなと忠告すればいい。

 問題は蘭々だった場合だ。

 その時はとりあえず、径生がどういうつもりなのかを確かめるしかない。

 径生が本気だと言ったら――。

 その時は……。
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