狼を甘くするためのレシピ〜*
 ケイが言う通り、タクシーに乗ったのはほんの少しでマンションに到着したのである。

「え……ここなの?」

「ああ、地下鉄の駅もすぐだしな、何かと便利だぞ」

 ――そりゃそうでしょうよ、都会のド真ん中だもの。
 もしかして、いや、もしかしなくてもお金持ちなのね?

 唖然とする思いでエレベーターに乗り、ケイが押した階数を見てまた驚いた。

 ――ちょっとあなた、ペントハウス住まいなの???
 しかも『買った』って言ってたじゃない。
 億はするわよね、部屋は何部屋?一億で買えるの?三億?五億?

 一体この男は何者なんだろう?

 そう思いながら視線の端でチラリと横顔を見るが、ケイは誇らしげな様子もなく、至っていつもの通りの普通である。

「どうぞ」

 通された部屋は蘭々の想像通り、ついさっき食事をしたレストランに引けを取らない素晴らしい眺めだった。
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