狼を甘くするためのレシピ〜*
 手に取ると、指先がひやりとした。
 その冷たさが、まるで頭を冷ませといっているようで、やるせない気持ちになる。

 それから五分ほどあれこれ考えて、ようやく蘭々は返事を送った。

『いってらっしゃい。気をつけて。五日後には私もういないかもしれないけどね。 アキ』

“五日後には私もういないかもしれない”

 それには色々な意味がある。

 今度こそ本当に彼の前から消える。
 アキは消えて、蘭々として彼に会う。

 いずれにしろ嘘をついたまま会うのはもう終わりにしようと思った。

 会いたくなっても会えない日が五日間あれば、自ずと答えは出るだろう。
 考えるためにはちょうどいい時間だ。

 本当は自分でもわかっている答え……。
 それでも今はまだ、気づかないふりをする。

 間をおかず、ケイから返事がきた。

『寂しかったら、俺の部屋で枕を抱いて寝てるんだぞ』
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