狼を甘くするためのレシピ〜*
「でも、この状態をいつまでも続けるわけにはいかないし。LaLaだと本当のことを言うか、名乗る前に別れるか」

 うんうんと、難しい顔をして真剣に聞いている紗空に、時折微笑みながら、蘭々は独り言のように言う。

「少し前までは、アキのまま、アキだけの想い出にして別れようと思ってた」

 蘭々は、それ以上は言わずに紅茶に手を伸ばす。
 陶器のようになめらかでか細い、その指先を見つめながら、紗空はその続きを心の中で代弁する。

 ――でも、もうそういうわけにはいかなくなった。
 恋をしてしまったから……。

「あの、確かめてはみたんですか?」

 前回会った時、燎からのアドバイスを伝えている。
 それを聞いて彼女は、『そうね、わかったわ』と言った。ならば、なにかしらのアクションがあったのではないか。

 飲みかけのカップを唇から離し、なにか言葉を言いかけて口を開いたその時、ふいに蘭々の手が止まった。

「――蘭々さん?」

 彼女が目を見開いて凝視しているものが何なのか、振り返った紗空もまた同じように固まる。

「――え?」

 そこにいたのは、なんと例の謎の“知人”ミナモトケイ。
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