狼を甘くするためのレシピ〜*
『私が取引先から頂いたネックレスを社長が預かってきてくれたんですが、そのことを氷室さんに聞かれたので、もしかするとそれがなにかの誤解招いたのかもしれないと思うんです。まぁ原因もわからないしただの推測なんですけどね』

 続けてそう聞いた時は、穴があったら入りたいほど恥ずかしくなった。

 驚いたのは紗空も同じだったのだろう。
 彼女は店を出てから申し訳なさそうに俯いた。

『ごめんなさい蘭々さん、私が燎さんに言ってしまったから。おおごとになってしまったんですね。どうしよう……』

『私が彼に聞けば全ては済んだ話だったのよ。ありがとう紗空ちゃん。ごめんね心配かけちゃったね。でもうれしかった。仁の気持ちも紗空ちゃんの気持ちも。ほんとうにありがとう』

 殴った仁も殴られたケイも誰も悪くはなくて、全て悪いのは自分。

 ――確かめるべきだった。
 本人に聞いてみましょうよと、紗空にも衣夢にも言われたとおり、勇気を出して聞かなくちゃいけなかった。
 それなのに、速攻でアキのスマートホンを解約してしまったのだから話にならない。
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