狼を甘くするためのレシピ〜*
 夕べ家に帰ると、時間は遅かったが仁に電話をした。

『ごめんなさい、仁。ケイのこと。私、ちゃんと話してなかったのに……』

 そこまで言って溢れた涙。

『気にするな。誤解をさせるあいつが悪いんだから』

『仁……私』

『初めて好きになったんだろう?』

『……うん』

『よかったな、そんな恋ができて』


 ――仁。

 ポタリと手の甲に落ちた涙に気づき、
 蘭々は慌ててティッシュペーパーに手を伸ばした。

 ごめんなさい。みんなに迷惑かけて。

 ごめんなさい。

『大丈夫だ蘭々。あいつは俺の親友だ。心配ない』

 なにをどうしたらいいのか。わかっているんだろう? 仁のそんな声が聞こえたような気がした。
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