狼を甘くするためのレシピ〜*
 胸がドキドキと高鳴るけれど、それが後悔なのか期待なのかは自分でもわからない。

 ゆっくりと瞼を上げて画面を睨むが、すぐに返事は来なかった。

 となると、次第に襲ってくる不安。

 電話番号を書いたとはいえ、単なる社交辞令だったのか?
 そもそも電話番号を教えてくれたのは、ホテルに行く前のこと。

 ――もしや引いてる?

 一度きりのはずの遊んだ女が連絡を取ってくるなんて、鬱陶しいと思われた?

 もう少し、三十分だけ待って、返事がなければスマートホンの電源を切ってしまおう。
 そして解約すればいい。

 送ってしまったメッセージは無かったことにはできないけれど、この電話を無くしてしまえば大丈夫。

 唇を噛み、蘭々は様々な思いを巡らせた。

 目が乾いてコンタクトレンズが落ちそうになるほど見つめながら、こんなに長い五分を待ったのはいつ以来だろうと溜息をついた時だった。
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