狼を甘くするためのレシピ〜*
「蘭々の友達ならモデルだろう? どう考えても、二度目を誘わない男はいないと思うぜ」

「それがね、彼女はちゃんと変装したのよ。私たちはね、メイクでいかようにも変えられるの」

「へぇー、まぁ、プロだもんな」

「ふふ、そうよ。私たちは変装のプロ。服の一部になりきるの」

 その時点でも、まさかと仁疑う気持ちが勝っていた。
 いくらなんでも世の中それほどの偶然が起きるわけがない、と。

「それはそうと、どうだった? 叔母さんのところに行ってたんだろう? 何かあったりしないのか?」

「ん? うーん。のんびりしてただけ。別になにも」

 そう言って、蘭々はフッと瞼を伏せた。

 ――え? おいおい、嘘だろ?

 彼女は何か誤魔化す時、言ったあとに必ず視線を外して瞼を伏せる癖がある。

 かれこれ十五年とちょっと。ずっと蘭々を見守ってきた仁なら容易に見抜ける嘘が、そこにあった。
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