グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~

「嘘つきおばさん! いいわよ、もうすぐ、私の本当のお母さんが来てくれるから。ちゃんと今日、迎えに来てくれるって約束してから」

「はぁ? ばか言わないで! 」


 バタバタ・・・

 走ってくる足音が聞こえてきて、ティミスが振り向くと、1人の兵士が駆けてきた。

「国王様、お客様がいらしております」

「誰だ? 」

「はい、パティーナ様の本当の母親と名乗られる女性の方でございます」


 パティーナは嬉しそうに微笑んだ。

 ディアンナは真っ青な顔に、怒りを露わにしている。


「とりあえず、客間に通してくれ」

「かしこまりました」




 窓から暖かい日差しが差し込んでいる客間。

 そこに、1人の女性がいる。

 長いブロンドの髪が腰まで届き、ほっそりとした面長の輪郭に切れ長の目。

 瞳は赤く、白い肌というよりは青白い肌をしている女性。

 背が高く175センチはありそうなくらいで、すらっとしている。

 青いロングワンピースに、白いレースのカーティガンを羽織り、白いハイヒールを履いている姿はとて清楚で気品がある。


 コンコン。

 ノックの音に、女性は立ちあがった。


 ドアが開き、ティミスがパティーナを連れて入ってきた。


「あ! お母さん! 」

 パティーナは満面の笑みを浮かべて、女性に駆け寄った。

 ぎゅっと、女性に抱き着くパティーナ。


 女性はゆっくりと、ティミスを見た。


「初めまして、国王様。突然、お伺いして申し訳ございません。私はシルビアと申します」

 とても上品な挨拶をする女性シルビアを見ると、ティミスは言わずとパティーナの母親であることが解った。

 同じ赤い瞳。
 
 そして肌の色も同じである。


「初めまして、この国の国王ティミスです」

「はい、存じ上げております。・・・」
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