グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
「痛っ・・・」

 それほど痛くはなかったが、マロンディスはパティーナに叩かれた額を押さえた。

「全く、いつまで忘れているの? お父さん」

 ぷーッとほほを膨らませるパティーナを見て、マロンディスはすーっと自分の中で熱いものが込みあがって来たのを感じた。


 パティーナの怪我している腕の傷が、だんだんと治ってゆく・・・。

 そして、パティーナが指をくるりと回すと、壊れた柱時計が元に戻った。


「な、なにこれ? どうゆう事? 」

 ディアンナは驚いていポカンとしている。


「お父さん、その人は。私のお母さんじゃないよ」

「え? 」

「その人はね、私の事6年前に誘拐してきたんだから」

 え? 

 驚いて、ジュリアルはディアンナを見た。


「何を言い出すの? 貴女を産んだのは私よ! ちゃんと母子手帳だってあるのよ! 」

「違う! おばさんは、私のお母さんじゃないよ! 私は、おばさんなんか、お母さんに選んでないもん! 」

「な、なんなの? 」

「この柱時計、わざと倒れるようにしていたのは、おばさんでしょう? ここに、おばさんがいたの私見たもん」


 ディアンナが真っ青になった。



「どうしたんだ? 大声で」

 騒ぎに驚いたティミスがやって来た。

 現在33歳のティミスは、あの頃よりずっと大人の青年になった。

 ジュリアルとは5歳歳の差があるが、今ではしっかり支えてくれる頼れる国王様である。


「国王様、あのおばさんを逮捕して! 私の事、誘拐してきたんだよ」

「え? 」

 ティミスはディアンナを見た。

「違います! パティーナは、私の子供です。私と、マロンディスの子供です! 」

 
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