グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
晴天の空の元。
いよいよ南グリーンピアト行きの連絡船が出航する日がやって来た。
あまり盛大に送り出すことはしてほしくないと、マロンディスの頼みから、ティミスもジュリアルも見送りには来なかった。
マロンディス達と入れ替わりに、屋敷にはジャディスがやってきた。
これからは愛する人と、のんびり過ごすことになったジャディスはとても幸せそうな顔をしていた。
港にはアディールが見送りに来ていた。
「何だか急に寂しくなっちまうなぁ。ランフルク伯父さんまで行っちゃうなんて」
「気が向いたら、いつでも遊びに来ても構わないよ」
「え? 本当か? 」
「こっそり、迎えに来るからさっ」
「へぇー。それならいいかもなぁ」
アディールはジックニーに歩み寄った。
「ジックニー、これお前にやるよ」
綺麗なプラチナのクロスを差し出すアディール。
「綺麗・・・。こんなの初めて見た・・・」
「これは、父ちゃんと母ちゃんが、俺が産まれた時に作ってくれたクロスだぜ。ずっと身に着けていたが、これからはお前が身に着けててくれよ」
「え? そんな大切な物を僕に? 」
「ああ、お前は俺の弟だからな。離れてたって、これ見たら俺の事近くに感じてもらえるだろう? 」
そう言って、アディールはジックニーの首にクロスをかけてくれた。
太陽の光がキラリとクロスにあたって輝いた。
「有難う・・・兄貴」
兄貴と呼ばれると、アディールはちょっと照れている。
「まっ、みんな元気でやれよ。もう二度と離れたりすんなよっ」
「アディール。兄さんと姉さんの事、頼んだよ」
ポンとアディールの肩に手を置いて、マロンディスが言った。
「任せとけって。なんも心配いらねぇよ」
相変わらず、顔と言葉のギャップのあるアディール。
それぞれの思いを乗せて、南グリーンピアト行きの連絡船が出発した。