グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
「あーあ。行っちまったか」

 連絡船を見送りながら、アディールは少し寂し気な笑みを浮かべた。

「しゃあねぇや。人生には、出会いあり別れありって言うしな。でも地底か・・・」

 海の水面を見つめるアディール。

「地底があるって事は、まさか・・・」


 ゆっくりと空へと目をやるアディール。

「まさか、あの雲の上にも何かの世界があるんじゃねぇかな? 」

 晴天の空を見上げて、アディールはちょっとだけ想像してみた。

 空の上にある世界を・・・。


「ねぇか。だって・・・空の上は天国だって、母ちゃんが言ってたもんなっ」

 
 キラッ!

 晴天の空に流れ星のような輝きを見て、アディールは目を見開いた。


「ん? なんだ? 」

 もう一度見えるかと思い、見上げてみたが何も見えてこなかった。

「目の錯覚か? 」

 
 南グリーンピアトへ向かう連絡船が見えなくなり、海の水面には太陽の光がキラキラと輝いている。

 アディールはそのまま歩き出し、去って行った。



 
 それから5年の月日が流れた。

 あれから地底に行ったマロンディス達は、すっかり地底の暮らしになれとっても楽しい日々を過ごしている。
 
 ミネバは引退して、マロンディスとシルビアに地底を任せることにした。


 ランフルクはすっかり地底が気に入って、恐竜達と会話ができるくらいにまでなっていた。

 そして・・・

「幸せだよ、こんなに穏やかに過ごせるなんて」

 地底にあるちょっとしたオアシス。

 夏をイメージしたヤシの木と綺麗な湖がある。

 人気の少ないオアシスで、ランフルクとミネバが仲良く手を繋いで座っている。

「私も、こんな日々が来るなんて思いませんでした。ここに来てくださって、本当に有難うございます」

「ねぇ・・・手を繋ぐことは許してくれても、その先は許してくれないの? 」
 
「え? 」

 驚くミネバに、ランフルクは軽く唇にキスをした。

「あっ・・・」

 
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