幸福論
あんなに考えた告白の言葉も
こんなんがええな、って想像してた
理想のシチュエーションも全部抜けてしまった。


いざ彼女を目の前にすると
言いたいことは山ほどあるのに
うまく言葉を繋げられない。


それはただ緊張のせいなのか
片隅に残る紺ちゃんの存在のせいなのか。


時計を見るとタイムリミットが迫りきっている。





「なんか悩みでもあるの...?
悩みなら今度仕事の時に....」

「いや、ちょうねん。」





しびれを切らした彼女が口を開く。


腕時計を見る彼女は
時間をしきりに気にしてる。




そりゃそうやろう。
こんな時間に呼び止められて
急にベンチに座らされて。


迷惑に決まってる。
23時には帰らないとあかんのに。


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