幸福論
家までの時間を考えると確実に間に合わへん。


彼女は明日も仕事。
はよ言わなあかん。





「あんな、俺実は...........ッ」





ようやく下を向いていた顔を彼女の方に向けた。








”まこちゃんのことがずっと前から好きでした”






たった一言。



たった一言だけのそれ。




覚悟を決めて言うだけ。




こっちを向く彼女に伝えるだけ。
ありったけの気持ちを伝えるだけ。




それやのに



あんなに意気込んだのに




彼女の手元に目を向けた瞬間





言葉を発するのをやめてしまった。




たった一言のそれを言えないまま
思わず言葉を飲み込んでしまった。






「...........................ッ」









固まってしまった。__________
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