恋は小説よりも奇なり


スッと息を吸って真っ赤になった鼻の頭に人差し指を這わせる満に、奏がプッと小さな笑いを噴出した。

「分かった。じゃあ、利子の分だけは今払っておこうか」

奏の唇が満の柔らかい唇に触れる。

二人の眼鏡がカチャンと音を立てた。

触れ合う程度の軽いキス。

「支払いの続きは後日改めて……」

反射的に口元を両手の指先で押さえる満。

彼の言葉に体温は急上昇していく。

心臓が壊れそうなほどドキドキと暴れた。

触れ合った唇の感触。

顔がゆでダコのように真っ赤に染まり、息をするのもやっとだった。
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