大嫌いの裏側で恋をする
***
昼休みの後、間宮香織に指示をしながら。
彼女と関わりたがらない田代さんと間宮香織との間に入って伝言役をしたり。
それは、それは。
疲れるんだけど。
不思議と間宮香織への嫌悪感は消えていて。
見習うべき意志と押しの強さだと思って、彼女を見てた。
今日最後の発注書を入力し終え、印刷をかける。
フロア端のコピー機に取りに行くと、ちょうど間宮香織とバッタリ出会った私は。
「今日は、これチェック入れてもらったらもう上がってもらって大丈夫だから」
平静を装って穏やかな笑みを作る。
つまらなさそうに大げさな溜息を吐いた間宮香織が「ふーん、つまんねーな」って低い声を出す。
こっちが素なんでしょ?
いっそ、清々しくて私はまた笑う。今度は少しほんとの笑顔。
間宮香織が私の横を通りデスクに戻ろうとする、その時。
狙って小さな声を出した。
「間宮さん、ありがと」
「……はあ?」
怪訝そうに眉を寄せ、美人な顔が歪む。
取り繕ってブリッコしてるようでいて、その実なんて強く真っ直ぐな女性だろうか。
「おかげさまで、目の前の課題、思い出せたよ」
「意味わかんない」
「だよね、うん」
頷いた私から視線を外し、歩き出す背中に。
「負けないから!」
思ったより大きくなった声。
間宮香織は、振り返らなかったけど。