大嫌いの裏側で恋をする

「酒だろ、酒」
「え、昼から!? 嫌ですよ、お昼休みじゃ遠くてなかなか行けないランチのお店あるんですよ!」
「? それがどーした」
「行きたいんですよ! あ、土日はランチ料金じゃないのかな? あー、でもね、セットのシーザーサラダが美味しいとか吉川さんが」

そこまで話して、ハッとしたように石川の声が止まった。

「何?」
「やっぱ会社の近く行くのはやめます、誰に会うかもわからないし、それに」

区切った言葉を、待ってみる。

「デート気分が、薄れちゃいそうですしね」

俯きながら、爆弾投下してきやがった。

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