大嫌いの裏側で恋をする


「そ、それは、なんというか心強い」
「石川ちゃん、高瀬くんとくっついたんだってね」
「え!なんで知って」
「高瀬くんから聞かされましたとも。俺警戒されてる?」
「や、どうなんでしょうねぇ……あはは」

夏に、会ったきり仕事で話すだけだったし。しかも電話。
前の飲み会?は、あんな感じで途中で帰ったようなものだし。
いや待って、そもそもあの日秋田さん結構アレコレしてこなかったっけ?

「結婚ねぇ」
「はい?」

私が悶々と考え込んでると、秋田さんが呟いた。

「高瀬くんは割と突っ走ってるっぽいけど、匂わされてないの?」
「や、まさか。だってまだ」

付き合いだしたばかりだし。
あの、気恥ずかしい祝賀会なるものから1ヶ月が経とうとしている。
季節はいつの間にか肌寒くなり、空気がつん、と張り詰めだした。
11月も中頃を過ぎた……まだ、そんな時期。

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