大嫌いの裏側で恋をする





確かに昨日、課長に社内共有のフォルダにデータが入ってるからと……指示を受けて送った。
見積もりを添付したつもりだったけど、帰る間際だったからハッキリと思い出せない。

どうしよう。

「系列会社だ、しかも秋田くんのところで気が付いて止めてくれてる。だけどな、いつもそうとは限らんだろ。指示されたデータくらい間違わずに確実に添付しろ」
「す、すみません……」

どうしよう。
どうしよう。
何で私はいつもこうなんだ。

何かに気を取られてると、こうなってる。

「そういうデータを、見られるとまずい取引先もあるだろ。いやほとんどがそうだと思わんか」

すみません、と出す声が震えてしまう。
わかる。とても、相手先に失礼な間違いだってわかる。

< 219 / 332 >

この作品をシェア

pagetop