大嫌いの裏側で恋をする



「ここのところ、気抜いて仕事してるのか?小さなミスが続いてるぞ、しっかりしろ!」
「は、はい……すみません」

課長は、滅多に事務には怒らない。
前に直接注意された時も、こんなに怒ってなかった。

私、それだけダメなことしたんだ。
秋田さんのとこだったから、これで済んでるだけで。
謝る以外に何もできなくて黙っていると。

もう席に戻れ、と言われてしまった。
その、すぐ後に。入れ替わるように今度は間宮香織が呼ばれて課長のデスクに向かうのを、横目に見る。

私の時とは空気が違う。

「よくやってくれた」
「本社からも評価がいいらしいぞ!美人ちゃん!」
「また更新お願いするか、派遣会社に」

だなんて、聞こえてきちゃう。

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